仔犬のトリミングで休憩が大切な理由。レジリエンスを育てるグルーミングとは。

目次

前回の続きです

前回は、仔犬の初めてのトリミング前に確認してほしいことをお伝えしました。今回はその続きです。仔犬のトリミングと休憩の大切さについてお話しします。


なぜ休憩が必要なのか

トリミングの合間に休憩を入れることは、とても大切なことです。なぜなら、休憩を挟むことで、わんちゃんが「今どんな状況にいるのか」を少しずつ把握できるようになるからです。

では、なぜわんちゃんが状況を把握することが難しくなるのでしょうか。それを理解するためには、まず仔犬の発達について知っていただく必要があります。


仔犬の発達と「社会化期」

仔犬は生まれてから、新生児期・移行期・社会化期・思春期という段階を経て成長していきます。

この中で特に大切なのが社会化期です。社会化期は「心の扉が開いている」と言われる時期で、好奇心が旺盛で、新しいことを受け入れやすい状態にあります。

しかし、この社会化期はとても短いのです。飼い主さまが仔犬を迎え、ワクチンを接種して、自宅で待機している間に終わってしまうことがほとんどです。気づかないうちに、思春期に入っています。


思春期になると、警戒心が強くなる

思春期に入ると、好奇心よりも警戒心が勝るようになります。つまり、初めてサロンに来るタイミングが思春期と重なるわんちゃんがとても多いということです。

そのため、初めてのサロンで怖がったり、不安になったり、緊張のあまり興奮してしまうことがあります。これは決して異常なことではなく、その時期のわんちゃんにとって自然な反応です。


緊張しているとき、犬は「覚える」ことが難しくなる

犬が興奮・緊張しているとき、心拍数がとても早くなります。ときには、緊張しているだけでダッシュで走ったときと同じくらいの心拍数になることもあります。

少し想像してみてください。あなたがダッシュしている最中、または走った直後に、複雑な計算をすることはできますか?きっと難しいですよね。

犬も同じです。強い緊張状態にあるとき、状況を把握することが難しくなります。新しいことを覚えることも難しくなります。つまり、緊張したまま進めるトリミングは、わんちゃんが「慣れる」体験になりにくいのです。


ペットショップ出身のわんちゃんは特に注意

犬は生まれ持ってトリミングに慣れているわけではなく、後天的に慣らしていく必要があります。もちろん、ブリーダーさんやショップでグルーミングに慣れるよう取り組んでいるところもあります。しかし、すべてではありません。

多くのわんちゃんはペットショップで育ちます。体調管理が最優先のため、グルーミングの頻度がそれほど多くないこともよくあります。そのため、初めてペットサロンに来たとき、緊張でカチカチになってしまうわんちゃんも少なくありません。


だから、休憩が必要なのです

そんな精神状態を知っているからこそ、私たちは作業の合間に休憩を設けることを大切にしています。少しでもわんちゃんが状況を把握しやすくなるよう、意識的に「間」を作っています。

休憩中には、他のわんちゃんの匂いや音を自然に感じる時間もあります。そういった時間の積み重ねが、わんちゃんにとってとても大切な体験になります。


レジリエンスを育てることが、本当の目標

初めてのサロン体験で大切なのは、「完璧にきれいにすること」ではありません。それよりも大切なのは、わんちゃんが良い印象を持ち帰ることです。「大丈夫だった」「少し怖かったけど、優しくしてくれた」という体験が重要です。

そして、少し疲れはあっても、また回復できる力を育てること。これをレジリエンスと言います。

レジリエンスとは、困難な体験から立ち直る力・回復する力のことです。「怖かったけど大丈夫だった」という成功体験を積み重ねることで、わんちゃんのレジリエンスは少しずつ育っていきます。

レジリエンスのことまで考えてトリミングをしてくれるお店は、わんちゃんのことを本当に大切にしているお店だと私は思っています。


📌 関連した記事はこちら

目次