わんちゃんが嫌がるグルーミングは、だめなことなのか。

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わんちゃんが嫌がる行為をすることは、だめなことなのでしょうか

私は、そうとは思っていません。日本には、相手に迷惑をかけないように我慢するという文化があります。そのこと自体を否定するつもりはありません。しかし、わんちゃんが自分の感情を表現することは、私たちトリマーへの迷惑にはなりません。わんちゃんが嫌だと伝えてくれることは、むしろ大切なサインだと思っています。


新人の頃、信じられていた「教え」

私がトリマーになったのは、今から約25年前のことです。

当時は「わんちゃんは上下関係を意識している。だからトリマーは威厳を示さなければならない。強い態度を取る必要がある。わんちゃんが嫌がるのはわがままだ」という教えが広く信じられていました。新人だった私も、わんちゃんが嫌がっていることはわかるけれど、なぜ嫌がっているのかはわからない。そんな状態でグルーミングをしていた時期がありました。

しかし今は、さまざまな研究が進んでいます。わんちゃんは上下関係ではなく、飼い主さまとの関係は母子関係に近いことがわかってきています。そうすると、トリマーというのはたまに会う親戚のおばちゃんくらいの存在なのかな、と想像したりします。


見た目にはわからない痛みがある

さらに知っておいていただきたい事実があります。わんちゃんは関節炎や脊椎の変形による痛みなど、さまざまな痛みを抱えていることがあります。しかし、その痛みに飼い主さまが気づいている割合は、約50%程度だと言われています。

私自身も、50肩やぎっくり腰を経験したことがあります。見た目には何ともないように見えても、本人はひどい痛みで体を動かすことができない。そういう経験をしました。また、更年期によって指の関節のこわばりや痛みを感じることもあります。

きっと、わんちゃんも同じなのかも知れません。年齢を重ねると、見た目ではわからない痛みがある。急性の場合もあれば、慢性的に痛みが続くこともある。季節や温度の変化によって体調が変わることもあるかも知れない。そんなことを知ってから、わんちゃんを触る時の意識が変わりました。


接触過敏という概念

また、「接触過敏」というものがあります。飼い主さま以外の人や、慣れていない場所への恐怖や不安が強く、触れられることに強い不快感を示すわんちゃんもいます。

その恐怖や不安を「わがまま」と片付けてしまってはいけないと、私は思っています。これを見極めることは、とても難しい判断です。まず痛みによるものかどうかを見分ける必要があります。そのためには、獣医さんにご相談いただくことが一番ですし、飼い主さまから日頃の様子を丁寧に聞かせていただくことも大切です。


葛藤しながら、それでも向き合う

できれば、短い間隔で通っていただき、お店や私たちに慣れてもらうことが理想です。しかし、費用の負担や時間の関係で、こまめに通うことが難しいケースの方が多いのが現実です。

その場合、わんちゃんが恐怖や不安を抱えた状態でグルーミングをせざるを得ないこともあります。厳格なトレーナーさんから見れば、可哀想だと言われることもあるかも知れません。しかし、私たちに選択肢があるのだろうかと、葛藤することも正直あります。

わんちゃんのためだからといって、無料でサービスを提供することはできません。かといって、飼い主さまに過度な費用負担をお願いすることも難しい状況があります。費用をかけられないからといって、その飼い主さまが失格だとは決して思いません。leafdogにいらっしゃる飼い主さまは、全員が愛情を持ってわんちゃんを育てていらっしゃる方ばかりです。

さまざまな事情があって当然です。制限のある中で、私たちに何ができるのかを考え続けたいと思っています。


完璧ではなくても、その時の最善を

ときには完璧を目指すことをせず、妥協だと言われることもあるかも知れません。しかしその選択が、わんちゃんにとっても飼い主さまにとっても、その時の最善であることを考えながら判断したいと思っています。

思い返すと、後悔はいつもついて回ります。正解があるのかどうかもわかりません。もっとこうしてあげられたのではないかと、思い悩む日々もあります。

だからこそ、私たちは常に学び続けます。もっとわんちゃんを理解したい。飼い主さまのお役に立ちたい。その想いが、成長したいという気持ちの根っこにあります。

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