トリミングで咬み付く理由は恐怖のサイン。咬む犬は「問題犬」ではない。

leafdogがグルーミングで最も大切にしていることは、犬を怖がらせないこと

トリミングで咬み付く理由は、ほとんどの場合、恐怖や不安からきています。

そのため、犬のボディーランゲージを観察しながら、恐怖や不安のレベルを常に把握することを心がけています。そして、その不安が攻撃行動に変わる前に対処することが大切だと考えています。

では、なぜそこまで「怖がらせないこと」を大切にしているのか。それは、トリミングで咬み付く理由の背景にある犬の気持ちを知っているからです。


目次

トリミングで咬み付く理由——それは「声なきメッセージ」

「咬む犬」と聞くと、怖い・危険というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、トリミングで咬み付く理由には、必ず背景があります。その理由のほとんどは、恐怖や不安からきています。

犬の攻撃行動は、犬の内情を伝えています。

  • 「怖いから、これ以上やらないで」
  • 「あなたと戦いたくない」
  • 「逃げたい」
  • 「痛い、触らないで」

つまり、咬み付きは突然起こるものではなく、犬がずっと伝えようとしていたサインの延長線上にあることがほとんどです。


犬には豊かな感情がある

まず前提として、犬には感情があります。喜んだり、悲しんだり、不安を感じたり、恐怖を感じたりします。

そして、犬の性格は遺伝と学習の両方が影響すると言われています。つまり、生まれ持った気質もあれば、育った環境や経験によって変わる部分もあるということです。

ただし、人は犬と接するとき、つい人間と同じように感じていると思ってしまうことがあります。それほど犬が人間社会に溶け込んでいる証拠でもあり、そのこと自体を否定するわけではありません。しかし、グルーミングの場では、擬人化したフィルターを通して犬を見てしまうと、犬の本当のサインを見逃してしまうことがあります。


思春期に変わる、犬の心

犬には、生まれてから「社会化期」という時期があります。この時期は心の扉が開いていると言われ、好奇心旺盛で新しいことを受け入れやすい状態です。

しかし、思春期に入ると心の扉が閉じると言われ、警戒心が出てきます。小型犬では、およそ生後6ヶ月〜3歳頃がその時期にあたります。

警戒心が出てくること自体は、成長するうえでとても重要なことです。ただ、人間との関わりの中で警戒心が強くなりすぎると、日常生活でさまざまな困りごとが出てくることがあります。


グルーミングで感じる、犬の恐怖

グルーミングサロンは、犬にとって刺激が多い場所です。

  • 知らない場所
  • 知らない人の動き
  • グルーミングで使う道具の音や感触
  • 身体のさまざまな部位を触られること

これらすべてが、恐怖や不安の引き金になり得ます。そして、その恐怖が強くなりすぎると、犬は本能的に攻撃行動を示すことがあります。


「支配」という考え方は、今は否定されている

以前は、「犬には支配欲があり、相手を自分より下と判断すると攻撃する」という考え方が広く信じられていました。これは「支配性理論(アルファ理論)」と呼ばれるもので、グルーミングの現場でも「犬よりも上であることを示すために、強い姿勢で犬を牽制しなければならない」という教えがありました。

しかし、その後の研究によってこの考え方は否定されるようになりました(Mech, 1999など)。強制や威圧によるグルーミングは、犬の恐怖をさらに強め、状況を悪化させることがわかっています。また、懲罰的なアプローチは、通常であれば攻撃的でない犬が敵対的な態度をとるようになる可能性もあると言われています。


おわりに

SNSでは、犬が明らかに攻撃行動を示している状態でトリミングが続けられている様子を見かけることがあります。それを見るたびに、とても苦しい気持ちになります。なぜなら、犬はずっと自分の内情を伝えているのに、その声に耳が傾けられていないからです。

咬み付く犬は、「問題のある犬」ではありません。恐怖や不安を感じている犬が、一生懸命に気持ちを伝えているだけです。

だからこそ、私は犬の声に耳を傾けながら、グルーミングし続けたいと思っています。それが、leafdogのグルーミングの出発点です。

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